IRAN · 2017
イランAbyaneh / Maranjab Desert
赤い山村では花柄のスカーフが揺れ、そこを離れると景色はやがて砂だけになった。
Abyanehは、山肌に赤茶色の家が重なる小さな村だった。乾いた山の色と家々の色がよく似ていて、遠くから見ると村そのものが斜面の一部になっているように見えた。
村に残る色を離れると、その先では少しずつ色そのものが消えていった。
村を歩いていると、女性たちが身につけていた花柄の大きなスカーフも印象に残った。白地に鮮やかな花が描かれた布が、赤土の家並みの中でよく目立っていた。建物だけでなく、人の服装にもこの土地で受け継がれてきたものが残っていた。
Abyanehはイラン中央部の山間にあり、赤みを帯びた土を使った家々と、山の斜面を利用した集落景観で知られている。比較的孤立した環境の中で、独自の方言や服装、生活文化が長く受け継がれてきた村でもある。
そこからMaranjab Desertへ向かうと、景色は大きく変わった。
山も村も遠ざかり、やがて砂丘が広がった。風によってつくられた曲線がどこまでも続き、人がつくったものはほとんど見えなくなる。
夕方になると、砂は少しずつ色を変えた。日中の強い光では単調に見えていた大地に陰影が生まれ、砂丘の輪郭が柔らかく浮かび上がってくる。
Abyanehでは、人が土地に合わせながら長く暮らしてきた姿を見た。
Maranjabでは、その人の存在そのものが消えていく。
花柄のスカーフと赤い家並みから、何もない砂漠へ。同じ土地の中で、ここまで景色が変わることが印象に残った。
















