BHUTAN · 2014
ブータンThimphu
一国の首都なのに、山の間に収まった街は驚くほど大きく見えなかった。
Thimphuはブータンの首都である。それでも、これまで訪れてきた多くの首都とはずいぶん印象が違った。高層ビルが密集するわけでもなく、山に囲まれた谷の中に、伝統的な意匠を残した建物が並んでいる。
首都なのに、街の動きまでどこか人の手に委ねられていた。
Thimphuには交通信号がなかった。街の中心では、警察官が交差点に立ち、腕を大きく動かしながら車を誘導していた。
当時は「世界で唯一、信号機のない首都」と聞いた。
大都市なら当然のようにあるものが、ここにはない。その代わりに人が立ち、運転手はその手の動きを見て進む。少し不思議で、同時にこの街らしい光景にも見えた。
実際、Thimphuではかつて交通信号が設置されたこともあったが、その後撤去され、警察官による手信号が使われてきた。
Thimphuが通年の首都となったのは1950年代で、現在は政府機関や王宮が置かれる国の中心である。それでも街の周囲にはすぐ山が迫り、首都だけが土地から切り離されて大きくなったようには見えない。
建物の向こうにはいつも山があり、交差点では人が車を動かしている。
近代的な首都でありながら、すべてを機械や大きな都市構造に置き換えない。その少し不思議なバランスが、Thimphuの記憶として残っている。


















