GREECE · 2019
ギリシャChios
エーゲ海の島を内陸へ進むと、幾何学模様の家々や石造りの村が現れた。
Chiosは、トルコの海岸に近いエーゲ海東部の島である。海沿いの街を離れて内陸へ進むと、そこにはギリシャの島として思い描いていた景色とは少し違う村々が残っていた。
同じ島の村なのに、路地を変えるたびに建物の表情が変わっていった。
特に印象的だったのがPyrgiだった。建物の外壁には、白と黒の幾何学模様が描かれている。三角形や菱形が組み合わさり、家の壁そのものが一枚の絵のようになっていた。これは xysta と呼ばれる伝統的な装飾で、漆喰の表面を削ることで模様を浮かび上がらせている。
Mestaでは、また違う景色が広がっていた。石造りの家々が隙間なく並び、建物の外壁がそのまま村を守る城壁のようになっている。細い路地は入り組み、ところどころで石のアーチが頭上を覆っていた。
Mestaは中世に築かれた城塞村で、外からの襲撃に備え、家々を密集させて防御しやすい構造につくられた。現在もその街路や建物がよく残されている。
こうした村々は、島の南部に広がるMastichochoriaと呼ばれる地域にある。古くからマスティハという樹脂が生産され、貴重な産物と人々の暮らしを守るために、村そのものが要塞のようにつくられてきた。
Pyrgiでは壁の模様に目を奪われ、Mestaでは石の路地を歩くことが楽しかった。
どちらも中世の村でありながら、その表情はまったく違う。
Chiosで記憶に残ったのは、美しい海だけではなかった。島の内側に残る小さな村々と、その土地で長く受け継がれてきた建築だった。























